FXの投資方法はいたってシンプルで、売りと買いの2択しかありません。
ところが実際には仕事も性格もトレードスタイルもバラバラな投資家達が同じように利益を出しているのです。
このFXのトレードスタイルを大別すると3種類に分類できるというのはご存知でしょうか。
数週間~数か月、場合によっては数年間ポジションを持ち続ける「スイングトレード」、その日のうちに決済を終えてしまう「デイトレード」。
中でも「スキャルピング」は数秒~数分で売買を終えてしまうという超短期のトレードスタイルです。
今回はそんな「スキャルピング」の魅力と特徴を解説していきます。
目次
FXのスキャルピングって何?
「スキャルピング」とは数秒~数分という短い取引時間の中で売買を繰り返し、利益を上げていくトレードスタイルのことです。
「スキャルピング」を行うトレーダーのことを俗に「スキャルパー」と呼び、1日何十回、人によっては何百回の取引を行います。
そのため大きな相場の中の一瞬の揺らぎ(ノイズ)を的確にとらえて瞬時にエントリーするという反射神経やそろそろ上がる、下がるといった相場経験も必要な取引方法です。
なぜそのような短いスパンで売買できるかというと、トレードスタイルによって狙う流れや局面が違ってくるからです。
次の図を見てください。
例えば長期的な上昇トレンドが発生しているとすると、「スイングトレード」や「デイトレード」で狙う局面は当然「買い」ですから押し目を狙って買っていくのがセオリーです。
ところが「スキャルピング」のようなスタイルでは1分足~15分足という短期足を見て取引します。
そうすると図のように調整の押し目の中にも買いと売りの波があることがわかりますね。「スキャルパー」と呼ばれる人たちはこうした小さな利益をコツコツと積み上げていくスタイルを生業としているのです。
スキャルピングのやり方
スキャルピングの大きな特徴はスパンが短いので、一日の売買の回数をも当然多くなります。それだけ短い時間内で取引するので一回に取れる利益は少なくなります。
そうなったときにある程度の利益を出したいと思ったら取引回数を増やさないといけません。
回数をこなしていくことで、最終的に1日が終わった時に利益が出るというのがスキャルピングのやり方です。
しかし、取引回数が多いということはそれだけ正しいエントリーポイントを掴む必要がありますからきちんと値動きを捉えることが重要です。
特に「スキャルパー」は値動きが大きくなる時間帯や通貨ペアを頭に入れておく必要がありますね。
大体のタイムスケジュールとしては朝の9時~12時までの午前中は日本の「東京市場」がメインなので「ドル円」など円がらみの通貨ペアが活発に動きます。
次に相場が大きく動き出すのが、「欧州市場」が開始する15時~18時です。ちょうどヨーロッパの朝が始まる時間帯なので、「ユーロ」や「ポンド」などが入った通貨ペアをトレードします。
21時ごろになるとアメリカの「ニューヨーク市場」が活発に動き始めるので、「スキャルパー」にとって最も大きな稼ぎ時になります。このように「スキャルピング」は相場が大きく動き出す時間帯を狙ってエントリーチャンスを待つということも大切です。
取引量の多い(流動性の高い)通貨などは一日のうち数回は大きく動く場面というのがあるので、うまく乗ることができれば数分のうちに5~20pipsを取ることも可能なのが「スキャルピング」です。
スキャルピングで稼ぐコツ
具体例をもとにスキャルピングで狙うポイントなどを見ていきましょう。
下記は2020年5月29日のドル円の5分足です。
下降トレンドからレンジに入り、Wボトムを付けて再度上昇トレンドに入っていった場面です。ここはスキャルパーにとってとてもおいしい相場といえます。
例えば下限のレンジ部分は上位足で見るとほとんど値幅がないように見えますが、5分足では小さな上昇と下降を取ることも可能です。
ただし、こういった部分は大きいトレンドが再開した場合には危険なので初心者のうちはあまりおすすめしません。
むしろ本命は中央のレンジ帯のネックラインを抜けた転換で、こういった上下する相場で逆張りしつつ転換を狙うと短時間で大きな利益を狙うことができます。
例えば何度も反発している部分に水平線を引いてみると大体の逆張りポイントが見えてきます。
また、こうしたレンジではボリンジャーバンドの逆張りが良く効くので±1σ(青線)、±2σ(赤線)にタッチしたら逆張りでエントリーする方法もおすすめです。
このようにスキャルピングで利益を上げていく場合逆張りが基本となります。
スキャルピングに向いている銘柄はこれ
スキャルピングは短期間で決済までを行うという特徴から一回の取引で取れるpips数は少なくなります。また、エントリーしてもあまり伸びずに反転してしまった場合スプレッドの狭い通貨ペアを選ばないと損失がかさんでしまいます。
そのためスキャルピングをする際の通貨選びに次のような基準を満たしている通貨ペアを探すと良いでしょう。
[st-mybox title=”スキャルピングに向いている条件” fontawesome=”fa-file-text-o” color=”#757575″ bordercolor=”#f3f3f3″ bgcolor=”” borderwidth=”3″ borderradius=”5″ titleweight=”bold” title_bordercolor=”#757575″ fontsize=”” myclass=”st-mybox-class st-title-under st-list-check” margin=”25px 0 25px 0″]- 流動性が高い(取引量が多い)
- スプレッドが狭い
- ボラティリティが高い
- 政治情勢が安定している
以上を踏まえておすすめの通貨ペアを解説していきます。
ドル円
「ドル円」は世界的に見ても「ユーロドル」に次いで流動性が高い通貨ペアです。
取引量が多いということはそれだけ売買に参加しているトレーダーが多いということですから、約定スピードが高いというメリットがあります。
このことは瞬間的な値動きを捉えて売買するスキャルピングする上で非常に重要です。
大きなトレンドの流れに逆らって取引する場合、例え1pip程度の利益でも確保しておくなど臨機応変に対応することが求められます。
特にボラティリティが高い相場でコツコツと利益を出していく場合はこうした約定スピードが高い通貨ペアや取引業者を選ぶことが基本になります。
ユーロドル
「ユーロドル」は世界で最も流動性の高い通貨ペアといえます。
こうした市場参加者の多い通貨ペアというのは大衆心理が大きく反映されるので、値動きが素直であることが多いです。
例えば「トルコリラ」や「南アフリカランド」などの新興国通貨のように取引数が少なく、政治状況が不安定な通貨は予測不可能な動きをすることがあり、テクニカル分析が機能しなくなることが考えられます。
スキャルピングのような短い時間の値動きを取っていくような方法ではファンダメンタルよりもテクニカル分析を重要視する傾向が多く、相場の常識に従って動くような通貨ペアが望ましいのです。
そのため「ユーロドル」や「ドル円」といった取引量が多く情勢が安定している通貨ペアは流れをつかみやすくスキャルピング向きといえます。
ポンド円
ポンド円の大きな魅力はスプレッドの広さをカバーできる大きなボラティリティです。
ポンド円は通称「クロス円」と呼ばれる通貨ペアで、「ドル円」「ポンドドル」両方の値動きに影響を受けます。
その値動きの激しさから一見初心者には向かない通貨ペアといわれますが、中期的には比較的きれいなチャートを形成することが多く値動きが予想しやすい通貨ペアです。
値幅を大きくとることが可能なので、大きなトレンド方向に従ってスキャルピングしていくなどやり方によっては効率よく利益を上げることもできます。
スキャルピングをするときの注意点
スキャルピングは小さな値幅を取っていくトレードスタイルですから急激な値動きの変化や業者ごとのサーバーに影響を受ける事があります。
そこでスキャルピングをする上で知っておかなくてはならない注意点についてまとめました。
国内FXではスキャルピングを禁止している業者もある
これは明確にスキャルピングが禁止としているわけではありませんが、実は規約の中には「短期的な注文を繰り返し行う行為の禁止」「当社のシステムに悪影響を及ぼすと認められる注文」といった文言でスキャルピングを推奨していない業者もあります。
スキャルピングといってもどこからが規約に触れるのかは業者側に委ねられてしまいます。とはいえ全面的にスキャルピングが禁止というわけではありません。数分ごとの決済であれば基本的には問題ないでしょう。
禁止されているのは規約にもあるような「システムに悪影響を及ぼす」注文です。いわゆる秒スキャなどといわれる数秒で決済するスキャルピングを過度に行った場合、取引サーバーに負担が掛かります。
短期的な売買を繰り返すトレーダーが増えるとサーバーが重くなり「約定スピードの低下」や「スリッページ」が業者の評判に大きく関わるため、スキャルピングをするトレーダーを増やさない、抑止力として禁止事項に加えているといったことが考えられます。
ボラティリティの拡大に伴うスリッページに気を付ける
決済注文をしたタイミングと実際の決済価格にズレが生じることを「スリッページ」といいます。
スキャルピングでは利幅が数pipsと非常にシビアなトレードが求められることがあるので、ほんの少しの決済の遅れでも利益が0やマイナスになってしまう可能性があります。
特にボラティリティが大きく値動きが激しい相場(荒れている市場)では一瞬で数pips価格が上下する場合があるので、高い集中力や値動きを予測する力が求められます。
そこで少しでも狙った価格で決済するために、スリッページ発生率の少ないFX業者を選ぶ必要があるのです。
スキャルピングをしたいならこのFX業者
スキャルピングをする上では業者選びから重要になってきます。デイトレードやスイングトレードといった取引に比べ短期間の取引では数pipsの上下に目を見張らせないといけないので、スプレッド(取引手数料)の狭い業者や約定力の高い業者を選ぶことが何よりも大切です。
FXプライム(byGMO)
「FXプライム」は「GMOクリック証券(FXネオ)」と同じGMOファイナンシャルホールディングス株式会社が提供するFX専用業者です。
トップページにも書いてあるようにスキャルピングを容認しており、口座凍結などの心配をせずにトレードすることができます。
高機能な取引ツールや金利などが高めな点や、FX関係の情報が豊富なので、初心者にも人気が高くおすすめできるFX業者です。
LION FX(ヒロセ通商)
「LION FX(ヒロセ通商)」もスキャルピングがOKなFX業者です。さらにスプレッドも業界最小水準(原則固定)なので、ボラティリティの小さな場面でもスキャルピングを狙っていける点が強みです。
スキャル向きのインジケーターの搭載や利食いや損切りの細かい注文方法も可能で、スキャルパーにはぜひおすすめしたいFX業者です。
JFX
JFXは2005年に設立されたFX業者で、ヒロセ通商の兄弟会社になります。
特に約定力が他のFX業者と比べて優れており、国内サーバーの中では「FXプライム」か「JFX」が最も性能が高いと言われています。
その性能を活かした0.001秒の約定スピードは瞬時の決済やエントリーが決め手となる秒スキャや値動きの激しい相場での取引に大きく貢献するでしょう。
まとめ│感情に振り回されないトレードにするには
スキャルピングは取引回数が多いトレードスタイルのため連続して負けることも少なからずあります。そうしたときに含み損を取り返そうとすると視野が狭くなりさらに負けを増やす悪循環に陥ります。
小さな利益だからと言って成り行きだけでエントリーするのではなく、きちんと値動きを観察してさらに根拠を追加するためにテクニカル指標を使うといった分析に基づいて冷静にトレードすることが求められるのです。
けれども長期的なファンダメンタルなどに左右されないこのスタイルは、一度スキャルピングの技術を身に着けてしまえばコンスタントに利益を確保でき、時間帯にとらわれないトレードができるようになります。
これからスキャルピングを始めたいという方は、まずは少額やデモトレードなどから始めてみて自分なりのトレードルールを検証し相場を理解できるようにきちんと勉強していきましょう。